「二輪車のブレーキは何種類あるの?」「右手のレバーと右足のペダルは、どちらのタイヤに効くの?」と迷っていませんか。
教習所の学科問題では、前輪ブレーキ、後輪ブレーキ、エンジンブレーキの違いがよく問われます。
一方、実際のバイクでは、マニュアル車とスクーターでブレーキの操作方法が異なることがあります。
ここを曖昧なまま覚えてしまうと、「ブレーキペダルはすべての二輪車に付いている」「右手のレバーだけ使えば止まれる」といった誤解につながりかねません。
先に結論をお伝えすると、警察庁の教則で説明される二輪車のブレーキのかけ方は、次の3種類です。
- ブレーキレバーを使う前輪ブレーキ
- ブレーキペダルまたはブレーキレバーを使う後輪ブレーキ
- スロットルを戻す、またはシフトダウンして使うエンジンブレーキ
マニュアル車では、一般的に右手のブレーキレバーが前輪、右足のブレーキペダルが後輪を操作します。
スクーターでは、右手のレバーが前輪、左手のレバーが後輪または前後連動ブレーキになっている車種が一般的です。
つまり、「二輪車のブレーキの種類はブレーキレバーとブレーキペダルの2種類である」という説明は、すべての二輪車へ当てはめると不正確です。
この記事では、前輪と後輪の役割、ペダルはどっちのブレーキなのか、スロットルを戻すタイミング、エンジンブレーキ、ABS・CBSの違いまで初心者向けに整理します。
ブレーキは知識だけで上達するものではありませんが、正しい仕組みを知っておけば、教習や安全な練習の内容を理解しやすくなりますよ。
ポイント
- 二輪車のブレーキのかけ方は前輪・後輪・エンジンブレーキの3種類
- マニュアル車では右手レバーが前輪、右足ペダルが後輪
- スクーターでは後輪も左手のレバーで操作する車種が多い
- 前後ブレーキを同時に使い、路面に合わせて力を調整する
- 前7・後3という比率は固定された正解ではない
- ABS車の緊急制動ではレバーを意図的に小刻みに離さない
- エンジンブレーキだけでは停止できないため前後ブレーキを併用する
先に結論
通常の減速では、まずスロットルを戻し、車体をできるだけ立てた状態で前輪と後輪のブレーキを滑らかに使います。
前輪は大きな制動力を担当し、後輪は制動を補いながら姿勢を安定させます。
ただし、前輪と後輪の力を毎回きっちり7対3にする必要はありません。乾いた路面、雨、砂利、タンデム、積載などによって適切な配分は変わります。
また、スクーターにはブレーキペダルがない車種が多いため、自分の車両の取扱説明書で左右レバーの役割を必ず確認してください。
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二輪車のブレーキの種類は3種類

警察庁の「交通の方法に関する教則」では、二輪車のブレーキのかけ方を3種類に分けています。
ここでいう「種類」は、ディスクブレーキやドラムブレーキといった機械構造の違いではありません。
ライダーが減速するときに使う前輪ブレーキ、後輪ブレーキ、エンジンブレーキという3つの方法を指しています。
| 種類 | 主な操作 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 前輪ブレーキ | 右手のブレーキレバー | 大きな制動力を発生させる |
| 後輪ブレーキ | 右足のペダルまたは左手のレバー | 減速を補助し、車体の姿勢を整える |
| エンジンブレーキ | スロットルを戻す・順番にシフトダウンする | エンジンの抵抗を使って速度を落とす |
前輪と後輪は、摩擦を利用するブレーキ装置です。
エンジンブレーキは、ブレーキレバーやペダルを使わず、スロットルを戻したときのエンジン抵抗によって減速します。
ただし、エンジンブレーキは補助的な減速方法です。
停止線で完全に止まるときや、急な危険を回避するときには、前後のブレーキ装置を使う必要があります。
警察庁の教則を確認したい方は、公式資料の「第8章・第4節 ブレーキの掛け方」を参照してください。
レバーとペダルはブレーキの種類ではなく操作装置
「二輪車のブレーキの種類はブレーキレバーとブレーキペダルの2種類である」という文章を見かけることがあります。
しかし、レバーとペダルは、厳密にはブレーキを作動させるための操作装置です。
さらに、すべての二輪車にブレーキペダルが付いているわけではありません。
マニュアル車では右手レバーと右足ペダルを使いますが、一般的なスクーターでは左右のレバーで前輪と後輪を操作します。
学科問題では、「前輪ブレーキ」「後輪ブレーキ」「エンジンブレーキ」という役割で覚えた方が混乱しにくいかなと思います。
ブレーキレバーとペダルはどっちの車輪に効く?
マニュアル二輪車は右手レバーが前輪ブレーキ
一般的なマニュアル二輪車では、ハンドル右側のブレーキレバーが前輪ブレーキです。
右手はスロットルも操作するため、減速するときはスロットルを戻しながら、ブレーキレバーへ滑らかに力を加えます。
ハンドル左側のレバーは、一般的にはクラッチレバーです。
そのため、マニュアル車で左レバーを握っても、ブレーキはかかりません。
ただし、クラッチ操作が不要なDCT車や特殊な車両など、操作系が異なるモデルもあります。
初めて乗るバイクでは、思い込みで操作せず、メーター周辺の表示や取扱説明書を確認しましょう。
ブレーキペダルはどっち?マニュアル車では後輪
ポイント
- マニュアル車のブレーキペダルは右足側
- 右足ペダルは後輪ブレーキを操作する
- 左足側のペダルは一般的にシフトペダル
- スクーターにはブレーキペダルがない車種も多い
マニュアル二輪車の右足側にあるペダルは、基本的に後輪ブレーキを操作します。
ペダルを踏み込むと、後輪側のブレーキが作動して減速します。
左足側にあるペダルは、一般的にはギアを変えるためのシフトペダルです。
自動車のように「足で踏む一つのペダルで、前後すべてのブレーキが作動する」と考えないようにしてください。
ただし、前後連動ブレーキを採用する車両では、右足ペダルを操作すると後輪を主体に前輪の一部も作動する場合があります。
連動の有無や作動割合は車種によって異なるため、「ペダルは後輪だけ」と決めつけず、取扱説明書を確認することが大切です。
スクーターは左レバーが後輪ブレーキ
一般的なスクーターにはクラッチレバーがありません。
そのため、右手のレバーで前輪、左手のレバーで後輪を操作する車種が多くなっています。
コンビブレーキを採用したスクーターでは、左レバーを握ると後輪だけでなく前輪の一部も連動して作動する場合があります。
それでも、右レバーと左レバーを同時に使った方が、車両本来の制動力を得やすくなります。
スクーターからマニュアル車へ乗り換えると、左レバーの役割が後輪ブレーキからクラッチへ変わります。
逆にマニュアル車からスクーターへ乗り換えると、クラッチを切るつもりで左レバーを強く握り、急な後輪ブレーキをかけてしまう可能性があります。
レンタルバイクや代車へ乗るときは、発進前に左右レバーの役割を確認してください。
前輪ブレーキと後輪ブレーキの役割
二輪車が減速すると、車体とライダーの荷重が前方へ移動します。
その結果、前輪が路面へ強く押し付けられ、後輪にかかる荷重は少なくなります。
前輪と後輪でブレーキの役割が異なるのは、この荷重移動があるためです。
前輪ブレーキは大きな制動力を担当する
乾いた路面で車体を立てて減速するときは、前輪ブレーキが大きな制動力を担当します。
停止距離を短くするには、前輪ブレーキを適切に使うことが欠かせません。
ただし、最初からレバーを急に強く握るのは危険です。
急激に制動力を立ち上げると、タイヤが十分に路面へ押し付けられる前に前輪がロックしたり、車体の姿勢が乱れたりする可能性があります。
まずレバーへ軽く力を加えて前輪へ荷重を移し、その後、必要な分だけ滑らかに握り増すのが基本です。
後輪ブレーキは減速と姿勢安定を助ける
後輪ブレーキは、前輪ほど大きな制動力を担当できません。
強い減速中は後輪の荷重が減るため、ペダルを強く踏みすぎるとロックしやすくなります。
一方で、後輪ブレーキには次のような使い道があります。
- 前輪と併用して停止を安定させる
- 渋滞や低速走行で速度を微調整する
- 坂道発進で車体の後退を抑える
- Uターンなど低速時の姿勢を整える
- タンデムや荷物積載時の減速を補助する
特に低速でハンドルを切っている場面では、前輪ブレーキを急に使うと車体が内側へ倒れ込みやすくなります。
教習所の一本橋や低速走行では、軽いスロットル、半クラッチ、後輪ブレーキを組み合わせて速度を調整します。
ただし、公道で無理な低速練習をするのは危険です。教習所や安全運転講習など、管理された場所で指導を受けてください。
前7・後3は絶対的な正解ではない
初心者向けの説明では、「前輪7割、後輪3割」と表現されることがあります。
前輪を主体にしながら後輪も使うという考え方は理解しやすいのですが、実際の適切な配分は一定ではありません。
次の条件によって、前後タイヤへかかる荷重や使えるグリップが変わるからです。
- 路面が乾いているか濡れているか
- タイヤの種類・温度・摩耗状態
- 車体の種類とホイールベース
- 一人乗りかタンデムか
- 荷物を積んでいるか
- 下り坂か上り坂か
- どの程度強く減速するか
警察庁の教則では、乾燥した路面では前輪をやや強く、滑りやすい路面では後輪をやや強く使うよう説明されています。
毎回数字を考えながら操作するのではなく、前後を同時に使い、路面と車体の反応に合わせて滑らかに調整する意識を持ちましょう。
二輪車のブレーキのかけ方|基本の手順

基本の流れ
- 前方を確認し、早めに減速を始める
- スロットルを戻す
- 車体をできるだけ垂直にする
- 前後ブレーキへ滑らかに力を加える
- 必要に応じて順番にシフトダウンする
- 停止直前にクラッチを切り、エンストを防ぐ
- 停止時は周囲と後続車を確認する
最初にスロットルを戻す
減速するときは、まずスロットルを戻します。
スロットルを開けたままブレーキを操作すると、エンジンが前へ進もうとする力とブレーキの減速力が同時に働き、操作が不安定になります。
右手首を自然に戻し、スロットルが閉じたことを確認しながら前輪ブレーキへ力を加えます。
ブレーキレバーを握ろうとして手首が下がらず、逆にスロットルを開けてしまう初心者もいます。
停車中にエンジンを切った状態で、スロットルを戻しながらレバーへ指を移す動作を確認しておくと安心です。
前後ブレーキをほぼ同時に使う
通常の停止では、前輪と後輪のブレーキをほぼ同時に使います。
前輪だけ、後輪だけと順番を大きく分ける必要はありません。
最初は前後とも穏やかに操作し、車体が安定して減速を始めてから必要な制動力まで増やします。
停止直前は速度が下がり、車体が不安定になりやすいため、前輪ブレーキを少し緩めながら後輪ブレーキで停止位置を整える方法もあります。
ただし、具体的な操作は車種や教習内容によって違います。教習中は指導員の指示を優先してください。
クラッチは最初から握り続けない
マニュアル車で減速を始めるとき、すぐにクラッチを切ってしまうと、エンジンブレーキが使えなくなります。
通常はスロットルを戻し、前後ブレーキとエンジンブレーキを使いながら減速します。
速度が下がってエンジン回転が低くなったら、クラッチを切ってエンストを防ぎます。
停止後すぐに発進する可能性があるなら、周囲の状況に合わせて低いギアへ落としておきましょう。
ただし、緊急時は細かなシフト操作より、前後ブレーキを確実に使って停止することが優先です。
ブレーキランプで後続車にも知らせる
エンジンブレーキだけで減速すると、一般的な車両ではブレーキランプが点灯しません。
後続車から見ると、あなたが減速していることに気付きにくくなります。
交差点や渋滞で減速するときは、前後どちらかのブレーキを軽く作動させ、ブレーキランプを点灯させる意識も大切です。
出発前には、ブレーキランプが前輪レバーと後輪ペダルの両方で点灯するか確認してください。
ブレーキレバーの正しい操作
握るのではなく滑らかに引き増す
ポイント
- 最初から強く握り込まない
- 軽く当ててから必要な制動力まで握り増す
- 腕や肩へ力を入れすぎない
- 手の大きさに合わせてレバー位置を調整する
- 必要な制動力を出せる指の本数で操作する
前輪ブレーキは、レバーをスイッチのように一気に握るのではなく、滑らかに力を増やします。
最初の軽い操作でフロントタイヤへ荷重を移し、その後に必要な制動力を加えるイメージです。
レバーを握る指は必ず2本でなければならない、必ず4本でなければならないという単純な話ではありません。
手の大きさ、レバーの長さ、ブレーキの効き、教習方法によって適切な操作は変わります。
教習中は指導員の指示に従い、公道では必要な制動力を確実に出せる操作を優先してください。
アジャスター付きレバーなら、握りやすい位置へ調整できます。
ただし、近くしすぎるとレバーを強く握ったときにグリップへ接触し、十分な制動力が出ない可能性があります。
ブレーキ中はハンドルへしがみつかない
強く減速すると体が前へ動くため、腕でハンドルへ突っ張りたくなります。
しかし、肩と腕へ力が入りすぎると、細かなブレーキ操作やハンドル修正が難しくなります。
ニーグリップができる車両では、下半身で車体を支え、上半身の力を抜く意識が大切です。
スクーターではニーグリップができないため、シートへ安定して座り、両手でハンドルをまっすぐ保ちます。
転倒時のけがを軽減するためにグローブも確認
ブレーキ操作を身につけても、路面状況や他車の動きによって転倒する可能性をゼロにはできません。
バイク用グローブを選ぶときは、ナックル部分だけでなく、手のひら側の補強、手首の固定、操作のしやすさも確認しましょう。
プロテクターはけがを完全に防ぐものではありませんが、摩擦や衝撃を軽減するための備えになります。
グローブを実店舗と通販のどちらで買うか迷っている方へ:
バイクグローブはどこで買う?初心者向けおすすめ購入先まとめ
ブレーキペダルはつま先でどう踏む?

ブレーキペダルは、右足の前側で操作します。
かかとで強く踏みつけるのではなく、ステップを支点にして足首を動かし、足の前側でペダルへ力を加えます。
ただし、「母指球だけを必ず使う」と位置を固定しすぎる必要はありません。
ステップとペダルの位置、ブーツの厚さ、足の大きさによって、自然に操作できる接触位置は変わります。
重要なのは、次の条件を満たすことです。
- 足首で踏力を細かく調整できる
- 必要なときにすぐペダルへ足を移せる
- ペダルへ足を乗せたまま引きずらない
- 強く踏んでも足が滑らない
- 膝とつま先が不自然に外側へ開かない
ペダルへ足を置きっぱなしにしない
右足をブレーキペダルへ乗せたまま走ると、自分では気付かない程度に後輪ブレーキを引きずる場合があります。
ブレーキを引きずると、パッドやシューが摩耗し、温度が上がって効きが低下する原因になります。
ブレーキランプが点灯したままになり、後続車へ正しい合図を送れなくなる可能性もあります。
通常走行ではペダルへ圧力をかけず、必要な場面ですぐ操作できる位置に右足を置きましょう。
ブーツによって踏みやすさが変わる
厚いソールや硬いブーツへ履き替えると、ペダルの感触が分かりにくくなることがあります。
反対に、柔らかすぎる靴やくるぶしが露出する靴は、転倒時の保護が十分ではありません。
ペダル位置を調整できる車種では、整備知識のある販売店へ相談し、無理のない足首角度へ設定してもらう方法があります。
調整後は、ブレーキランプが正常に点灯・消灯することも確認してください。
二輪車のブレーキとスロットルの関係
ブレーキ前にスロットルを戻す
通常の減速では、スロットルを戻してから前後ブレーキを使います。
スロットルを戻すとエンジンブレーキが働き、車体が穏やかに減速し始めます。
そのままでは必要な停止距離を確保できないため、前輪と後輪のブレーキを加えて減速します。
右手でスロットルとブレーキレバーを同時に扱うため、手首の角度が重要です。
グリップを深く握りすぎると、レバー操作時にスロットルが戻りにくくなる場合があります。
教習所で指導された握り方を基本に、自分の手の大きさに合うレバー位置を確認しましょう。
低速走行では軽いスロットルと後輪ブレーキを使う
マニュアル車で極低速走行をするときは、スロットルを完全に閉じたり開けたりするだけでは、車体がぎくしゃくしやすくなります。
軽くスロットルを開け、半クラッチで駆動力を調整しながら、後輪ブレーキで速度を整える方法があります。
これは一本橋、狭路、Uターンなどで使われる基本操作です。
ただし、前輪ブレーキを強く使いながらハンドルを大きく切ると、車体が倒れ込みやすくなります。
低速操作は難易度が高いため、交通のない公道で独学せず、教習所や安全運転講習で練習してください。
エンジンブレーキの正しい使い方
スロットルを戻すだけでも減速する
走行中にスロットルを戻すと、エンジン内部の抵抗によって車輪の回転が抑えられます。
これがエンジンブレーキです。
排気量、エンジン形式、ギア、回転数によって効き方は異なります。
一般的に低いギアほどエンジンブレーキは強くなります。
ただし、エンジンブレーキは停止するための主ブレーキではありません。
前後ブレーキを使う前の減速や、下り坂で速度が上がりすぎるのを抑えるために併用します。
急なシフトダウンは後輪を不安定にする
高い速度のまま一気に低いギアへ入れると、エンジン回転が急上昇します。
後輪へ強い抵抗がかかり、後輪が跳ねたり滑ったりする可能性があります。
エンジンやクラッチを傷める原因にもなりかねません。
シフトダウンは速度に合わせて一段ずつ行い、クラッチも急につながないことが大切です。
スリッパークラッチ付きの車両でも、無理なシフトダウンをしてよいわけではありません。
長い下り坂は低いギアとブレーキを併用
長い下り坂でブレーキをかけ続けると、ブレーキが高温になり、効きが弱くなることがあります。
下り坂へ入る前に適切なギアへ落とし、エンジンブレーキで速度が上がりすぎるのを抑えます。
必要に応じて前後ブレーキを使いますが、弱く引きずり続けるのではなく、十分な車間距離を取り、余裕を持って速度を管理してください。
焦げたような臭い、レバーの感触の変化、明らかな効きの低下を感じたら、安全な場所へ停車して冷却し、異常があれば走行を続けないでください。
ブレーキを小刻みにかけるのは正しい?
警察庁の教則には、急ブレーキによる横滑りを避けるため、ブレーキを数回に分けて使うという説明があります。
ただし、この表現を「緊急時には、レバーを素早く握ったり離したりし続ければよい」と覚えるのは危険です。
通常の減速では早めに数回知らせる意味がある
十分な距離がある通常の減速では、早めにブレーキへ軽く触れ、ブレーキランプを点灯させて後続車へ知らせる方法があります。
その後、必要な制動力まで滑らかにブレーキを強めます。
これは「急に強く握る」のを避ける考え方であり、常に細かくレバーを動かし続けるという意味ではありません。
ABS車の緊急ブレーキでは意図的にポンピングしない
ABSは、車輪がロックしそうな状態を検知すると、ブレーキ圧を自動的に調整します。
作動時にはレバーやペダルへ振動を感じることがあります。
この振動に驚いてレバーを離すと、必要な制動力が失われます。
ABS装備車で緊急制動するときは、車体をできるだけ立て、前後ブレーキを確実に操作し、意図的に握ったり離したりしないことが基本です。
ABSの具体的な操作や注意点は車種によって異なるため、取扱説明書も確認してください。
非ABS車も単純な連打ではなく滑らかな限界操作が必要
ABSがない車両では、車輪をロックさせない範囲で制動力を高める必要があります。
しかし、これは初心者が公道で独学するには危険な操作です。
レバーを連打するだけでは停止距離が長くなる可能性があります。
教習所や二輪車安全運転講習など、管理された場所で正しい急制動を練習してください。
後輪ブレーキだけで止まるのが危険な理由
後輪だけに頼らない
- 後輪だけでは大きな制動力を得にくい
- 強く踏むと後輪がロックしやすい
- 停止距離が長くなりやすい
- 前輪ブレーキを使う習慣が身につかない
「前輪ブレーキは転びそうで怖いから、後輪だけで止まった方が安全なのでは」と感じる初心者もいるかもしれません。
しかし、速度が出ている状態で後輪だけを使うと、十分な制動力を得にくく、停止距離が長くなります。
減速によって後輪の荷重が少なくなるため、ペダルを強く踏んでも後輪がロックしやすくなるだけで、期待したほど止まらない場合があります。
安全に停止するには、前輪の制動力を適切に使い、後輪で補助することが大切です。
後輪ブレーキだけを使う場面もある
後輪ブレーキだけが常に間違いというわけではありません。
次のような低速場面では、後輪ブレーキを中心に速度を調整することがあります。
- 渋滞でゆっくり進むとき
- 狭い場所で向きを変えるとき
- 坂道発進で後退を抑えるとき
- 一本橋などの低速課題
ただし、通常速度から停止する場面や緊急時には、後輪だけへ頼らず前後を使ってください。
路面と状況別のブレーキ操作
カーブでは進入前に減速する
タイヤのグリップには限界があります。
カーブ中は曲がるためにもグリップを使うため、車体を大きく傾けた状態で強くブレーキをかけると、タイヤが滑る可能性が高まります。
基本は、カーブへ入る前の直線部分で必要な速度まで落とすことです。
カーブの途中で予想外の障害物を見つけた場合は、視線を進みたい方向へ向け、可能な範囲で車体を起こしてから減速します。
急な操作は避け、逃げ道と周囲の交通を確認してください。
雨の日は制動距離を長く見積もる
雨天では、乾燥路よりタイヤが滑りやすくなります。
マンホール、橋の継ぎ目、白線、落ち葉、工事用の鉄板などは、特に滑りやすい場所です。
雨の日は速度を落とし、車間距離を増やし、ブレーキを早めに滑らかに使います。
前輪ブレーキを使ってはいけないわけではありません。
前後を同時に使いながら、乾燥路より穏やかに制動力を立ち上げることが大切です。
水たまりを通過した後にブレーキの効きが変わった場合は、周囲の安全を確認し、低速で軽く作動させて乾かします。
砂利道ではブレーキ前に十分減速する
砂利や泥の上ではタイヤが路面をつかみにくく、急なブレーキ、急加速、大きなハンドル操作が車体の不安定化につながります。
未舗装部分へ入る前に速度を落とし、進入後は車体をできるだけ立てて、急操作を避けます。
前輪を急にロックさせると転倒へつながりやすいため、前後とも非常に滑らかな操作が必要です。
不安がある場合は無理に進まず、安全に引き返せる場所を選びましょう。
タンデムや積載時は早めに減速する
同乗者や荷物が増えると、車両全体の重量が増えます。
一人乗りと同じ感覚でブレーキをかけても停止距離が伸び、サスペンションの動きも変わります。
タンデムや積載時は車間距離を増やし、早めに減速してください。
同乗者には、ブレーキ時に急に体を起こしたり、左右へ動いたりしないよう伝えておきましょう。
ABSとCBSの違い

ABSは車輪のロック傾向を抑える
ABSは、アンチロック・ブレーキ・システムの略です。
ブレーキを強くかけたときに車輪の回転状態を監視し、ロックしそうになるとブレーキ圧を自動調整します。
車輪が完全にロックするのを避け、車体のコントロール性を維持するための補助装置です。
ただし、ABSがあればどんな路面でも短く止まれるわけではありません。
砂利、雪、凍結路、荒れた路面では停止距離が長くなる場合があります。
カーブ中の強いブレーキや、速度超過を安全にしてくれる装置でもありません。
ABSの有無に関係なく、速度と車間距離を適切に保つことが先です。
CBSは前後ブレーキを連動させる
CBSは、コンバインド・ブレーキ・システムの略です。
一方のレバーやペダルを操作したとき、前輪と後輪へ制動力を分配する仕組みです。
小型スクーターでは、左ブレーキレバーを操作すると後輪を主体に前輪の一部も作動するコンビブレーキが採用されることがあります。
ただし、CBSは車輪のロックを防ぐABSとは別の機能です。
CBSのみの車両では、強く操作すればタイヤがロックする可能性があります。
また、片側のレバーだけで常に最大の制動力を得られるとは限りません。
取扱説明書に従い、必要に応じて左右のレバーを併用してください。
ABS・CBSとエンジンブレーキは別の仕組み
ABSとCBSは、前輪・後輪のブレーキ装置を補助するシステムです。
エンジンブレーキを強化したり、代わりに作動したりする装置ではありません。
エンジンブレーキを急激に効かせた場合、一般的なABSが必ず後輪の滑りを防いでくれるとも限りません。
車種によってはエンジンブレーキ制御やIMUを使った高度な電子制御がありますが、すべてのABS車に搭載されているわけではありません。
二輪車のABS・CBS義務化
国土交通省は、二輪車の先進制動システムについて、新型車は2018年10月1日以降、継続生産車は2021年10月1日以降に装備を義務付けました。
基本的な対象は、125ccを超える二輪車がABS、50ccを超え125cc以下の車両がABSまたはCBSです。
ただし、競技用に近い一部車両などには適用除外があります。
また、制度の適用前に製造・登録されたABS非搭載車が、直ちに違法になるわけではありません。
中古車を選ぶときは年式だけで判断せず、実車にABSが装備されているか確認してください。
ブレーキ操作の前に点検したい項目
正しい操作をしても、ブレーキやタイヤが整備不良では安全に止まれません。
乗車前には、少なくとも次の項目を確認しましょう。
乗車前チェック
- ブレーキレバーとペダルに適切な遊びがあるか
- レバーがグリップ近くまで入り込まないか
- ブレーキフルードが規定範囲にあるか
- 液漏れや異臭がないか
- ブレーキパッドやシューが摩耗していないか
- タイヤの空気圧と溝が十分か
- 前後ブレーキでランプが点灯するか
- ABS警告灯が発進後も消えずに点灯していないか
違和感があるときは走行を続けない
次の症状がある場合は、ブレーキの故障や整備不良が疑われます。
- 以前よりレバーが深く入る
- ペダルが柔らかく感じる
- ブレーキをかけると車体が左右へ振られる
- 金属がこすれる音がする
- ブレーキを離しても引きずっている
- フルードが漏れている
- ABS警告灯が異常点灯している
「まだ止まれるから大丈夫」と走行を続けるのは危険です。
安全な場所へ停車し、販売店や整備工場、ロードサービスへ相談してください。
ロードサービスは現在の補償を確認してから追加する
ブレーキの異常や転倒で自走できなくなった場合、無理に乗って移動するのは危険です。
まず、任意保険や購入店のロードサービスに、無料搬送距離や搬送先の制限があるか確認しましょう。
補償が不足している場合は、バイク向けロードサービスを追加する方法があります。
教習所・学科試験で迷いやすいポイント

二輪車のブレーキのかけ方は3種類
学科試験では、次の3種類を覚えておきましょう。
- ブレーキレバーを使う前輪ブレーキ
- ブレーキペダルまたはブレーキレバーを使う後輪ブレーキ
- スロットルを戻す、またはシフトダウンによるエンジンブレーキ
特に重要なのが、「後輪は必ずペダル」とは限らない点です。
スクーターではブレーキレバーを使うため、教則にも「ペダルまたはレバー」と書かれています。
前後のブレーキを同時にかける
通常の制動では、車体を垂直に保ち、ハンドルを大きく切っていない状態で、前後ブレーキとエンジンブレーキを使います。
「前輪は危険なので後輪だけ使う」「前輪だけで止まる」といった問題文は、基本的には誤りです。
乾燥路と滑りやすい路面で配分が変わる
乾いた路面では前輪ブレーキをやや強く使います。
滑りやすい路面では前輪へ急に強い力をかけず、後輪も使いながら滑らかに減速します。
「どんな路面でも前輪7割・後輪3割でなければならない」という問題文には注意してください。
エンジンブレーキは低いギアほど強い
低いギアほどエンジンブレーキが強くなるのが基本です。
ただし、高速走行中にいきなりローギアへ入れるのは危険です。
速度に合わせて順番にシフトダウンします。
ABSは制動距離を必ず短くする装置ではない
ABSの目的は、車輪のロック傾向を抑え、車体のコントロール性を維持することです。
あらゆる路面で停止距離を必ず短くする装置ではありません。
「ABSがあれば速度を出しても安全」「カーブ中でも必ず転倒を防げる」といった説明は誤りです。
初めてのバイクはABS搭載車を選ぶべき?
初めてのバイクでは、ABS搭載車が有力な選択肢になります。
緊急時にブレーキを強く操作した際、車輪のロック傾向を抑える機能があるためです。
ただし、ABSの有無だけで安全性が決まるわけではありません。
体格に合う車重、足つき、タイヤの状態、ブレーキの整備状態も重要です。
ABS付きでも重すぎて支えられない車両より、無理なく扱えて整備状態の良い車両の方が、あなたに合う場合があります。
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古いバイクのブレーキに不安がある場合
ABS非搭載だからという理由だけで、古いバイクが危険と決めつけることはできません。
ブレーキパッド、ディスク、ホース、フルード、タイヤなどが適切に整備されていれば、安全に走れる車両もあります。
反対に、ABS付きの新しい車両でも、タイヤが摩耗していたり、ブレーキフルードが漏れていたりすれば危険です。
まず整備工場で点検を受け、必要な修理内容と費用を確認してください。
修理費が車両価値に対して大きく、今後も安心して維持するのが難しい場合は、乗り換えを検討する選択肢もあります。
修理か乗り換えか迷ったら、現在価値も比較
ブレーキに不具合がある車両を売却する場合は、症状や修理歴を隠さず正確に申告する必要があります。
カチエックスでは、車両の写真や状態を登録し、提示された査定額を確認できます。
修理見積もり、今後の維持費、現在の査定額を比べたうえで、修理して乗り続けるか乗り換えるかを判断しましょう。
修理か売却か迷っている方へ:
バイクを売るか迷う人必見!後悔しないための判断基準
二輪車のブレーキの種類に関するFAQ
Q1. 二輪車のブレーキのかけ方は何種類ありますか?
Q2. 二輪車のブレーキはレバーとペダルの2種類ですか?
Q3. ブレーキペダルは前輪と後輪のどちらですか?
Q4. スクーターの後輪ブレーキはどれですか?
Q5. 前輪と後輪は7対3でかければよいですか?
Q6. 後輪ブレーキだけで止まってはいけませんか?
Q7. ブレーキをかける前にスロットルはどうしますか?
Q8. ブレーキは小刻みにかけた方がよいですか?
Q9. ブレーキペダルはつま先とかかとのどちらで踏みますか?
Q10. エンジンブレーキだけで停止できますか?
Q11. ABSがあれば前輪を強く握っても転びませんか?
Q12. CBSとABSは同じものですか?
Q13. カーブ中にブレーキをかけてもよいですか?
Q14. ブレーキに違和感がある場合はどうすればよいですか?
二輪車のブレーキの種類を理解するためのまとめ
- 二輪車のブレーキのかけ方は前輪・後輪・エンジンブレーキの3種類
- レバーとペダルはブレーキを動かす操作装置
- マニュアル車は右手レバーが前輪ブレーキ
- マニュアル車は右足ペダルが後輪ブレーキ
- マニュアル車の左レバーは一般的にクラッチ
- スクーターは右レバーが前輪、左レバーが後輪の場合が多い
- CBS車では一つの操作で前後が連動することがある
- 減速時は最初にスロットルを戻す
- 前輪と後輪のブレーキをほぼ同時に使う
- 前輪ブレーキは大きな制動力を担当する
- 後輪ブレーキは減速を補助し、姿勢を整える
- 前7・後3は固定された正解ではない
- 路面・車種・積載状態に合わせて力を変える
- レバーは最初から急に強く握らない
- ペダルは足首を使って滑らかに操作する
- ペダルへ足を置いたままブレーキを引きずらない
- エンジンブレーキはスロットルを戻すと働く
- 急なシフトダウンは後輪を不安定にする
- 後輪ブレーキだけでは停止距離が長くなりやすい
- 低速走行では後輪ブレーキが速度調整に役立つ
- カーブへ入る前の直線部分で減速する
- 雨天では車間距離を増やして早めに減速する
- ABSは車輪のロック傾向を抑える補助装置
- CBSは前後ブレーキを連動させる装置
- ABSとCBSはエンジンブレーキとは別の仕組み
- ABS車の緊急制動では意図的にレバーを小刻みに離さない
- ブレーキの違和感を感じたら走行を続けない
- 初めて乗る車両では取扱説明書で操作系を確認する
最後に
二輪車のブレーキで最初に覚えたいのは、前輪・後輪・エンジンブレーキの3種類を組み合わせることです。
マニュアル車なら右手が前輪、右足が後輪。スクーターなら右手が前輪、左手が後輪または前後連動という違いがあります。
前輪だけ、後輪だけ、エンジンブレーキだけに頼らず、スロットルを戻してから前後を滑らかに使いましょう。
ブレーキ操作は、文章を読んだだけで完全に身につくものではありません。
教習所や安全運転講習などの管理された場所で繰り返し練習し、自分のバイクの反応を少しずつ覚えていくことが大切ですよ。